17~45歳のドイツ人男性、長期外国滞在に軍の許可が必要となる可能性 新たな兵役導入で

迷彩柄の軍服と帽子をかぶり、顔を黒いマスクで隠したドイツ兵たちが、自動小銃を携えて整列している

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画像説明, ドイツでは冷戦終結後に防衛支出が大幅に縮小され、兵役制度は2011年に停止されていた。写真は2025年9月に行われたドイツ軍の軍事演習の様子(ハンブルク)
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ドイツの17歳~45歳の男性は今後、長期の外国滞在にドイツ連邦軍の許可が必要になる可能性が出てきた。志願制の兵役を導入する新法の一環。

昨年12月に可決され、今年1月1日に施行された「軍務近代化法」は、ロシアのウクライナ全面侵攻を受けて生じた脅威を受け、防衛力を強化することを目的としている。

ドイツ国防省の報道官はBBC宛てのコメントで、17歳以上の男性は今後、3カ月を超える外国滞在について許可を得る義務があると認めた。

現行法では、渡航許可は原則付与されるものとされている。そのため、違反した場合にどのように規定が執行されるかは、はっきりしない。

この義務は、3日に現地紙フランクフルター・ルントシャウが報じるまで、ほとんど注目されていなかった。同紙によると、17歳~45歳の男性が3カ月超にわたり外国に滞在する場合は、地元のドイツ連邦軍キャリア事務所に申請し、許可を得る必要があるという。

国防省報道官はこの規定について、「信頼性があり有用な軍登録制度を確保する」ためのものだと説明。「緊急時には、長期間、外国に滞在している可能性のある人物を把握しなければならない」と付け加えた。

報道官は、若者への影響が「広範囲に及ぶ」可能性を認めたうえで、不要な官僚的手続きを避けるため「一部の免除規定を策定している」と述べた。

この義務の法的根拠は、数度の改正を経て、直近では昨年12月に改正された1956年制定のドイツ徴兵法にある。

最新の改正前には、長期の外国滞在を届け出る義務は、ドイツが国家防衛または動員の状態にある場合にのみ適用されていた。

国防省関係者は、同様の規定が「冷戦期にも事実上存在したが、実際的な意義はなかった」と述べた。

欧州最強の通常戦力軍隊へ

「軍務近代化法」では、ドイツ連邦軍の兵士を現在の約18万人から2035年までに26万人に増やす計画。

今年1月からは、18歳のすべての男女に兵役への関心や意思を問う質問票が送付される。回答は、男性は義務、女性は任意となる。

また、2027年7月からは、すべての18歳男性が軍務適性を評価するための身体検査を義務付けられる。

ドイツ憲法では、女性は志願して従軍することはできるが、徴兵されることなない。

計画では男性に対しても志願制を前提としているが、安全保障状況が悪化した場合や志願者が不足した場合、何らかの形で徴兵制を検討する可能性がある。

この法律が連邦議会で承認された際には、多くの若者が抗議行動に参加した。

抗議行動の主催者の一人はソーシャルメディアに、「私たちは人生の半年を兵舎に閉じ込められ、訓練で服従を教え込まれたり、人殺しを学びたくはない」と投稿した。

動画説明, 「手遅れになる前に」「戦争は最悪の選択」兵役導入にドイツの学生たちが抗議

冷戦期のドイツ陸軍はほぼ50万人規模の組織だったが、他のヨーロッパ諸国と同様、1990年代の平時にドイツは軍備を縮小した。

兵役制度は、2011年に当時のアンゲラ・メルケル首相の下で停止された。

現職のフリードリヒ・メルツ首相はかねて、ドイツ連邦軍を欧州最強の通常戦力軍隊へと再建すると約束している。今年2月のミュンヘン安全保障会議では、ルールに基づく世界秩序は「もはや存在しない」と警告。大国同士の政治の時代において「欧州の自由は保証されていない」と演説した。