アメリカでガソリン小売価格、1ガロン4ドル突破 2022年8月以来
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アメリカで3月31日、ガソリンスタンドでの平均小売価格が、約4年ぶりに1ガロン(約3.8リットル)当たり4ドルを超えた。
アメリカ自動車協会(AAA)によると、レギュラーガソリン1ガロン当たりの全米平均小売価格は4.02ドルに達し、米・イスラエルが対イラン戦争を開始した時より1ドル以上値上がりした。ディーゼル価格も約1.70ドル上昇している。
主要な海上交通路のホルムズ海峡がこの1カ月、事実上封鎖されているため、中東全域でエネルギー生産や輸送が減速、あるいは完全に停止している。その結果、ガソリンやディーゼルの原料として欠かせない原油の価格が急騰している。
ドナルド・トランプ米大統領は2024年大統領選挙で、給油時の価格引き下げを主要公約の一つに掲げていた。現在の価格上昇についてトランプ氏は、一時的な混乱に過ぎず、大きな影響はほとんどないと話している。
しかし複数のアナリストは、ガソリン価格の高騰が家計の消費抑制につながり、経済的な打撃の危険が高まると警告を強めている。
「紛争が早期に封じ込められれば、信頼感への打撃は一時的なものにとどまるかもしれないが、危機が長期化すれば、安全策としての貯蓄が増え、可処分所得の裁量支出がさらに減りかねない」と、ムーディーズ・レーティングスのアナリストは最近の分析ノートで指摘した。
2月28日に紛争が始まる前、アメリカでのガソリン平均小売価格は1ガロン当たり約2.98ドルだった。
物資輸送に不可欠なディーゼルは当時約3.76ドルで、現在の平均価格は5.45ドルに達している。この上昇は、食料品価格の上昇につながるとみられている。
今回の4.02ドルという水準は、2022年8月以来の高値。全米平均のため、州によってはすでに1ガロン当たり4ドル超の価格を払っている運転者もいる。
AAAは先週、高い原油価格に加え、春休みシーズンによるガソリン需要の増加も、給油価格上昇の要因として挙げた。
ロシアのウクライナ侵攻を受けて2022年6月にガソリンが5.01ドル、ディーゼルが5.81ドルまで上がった時の過去最高値よりは、現在の価格水準は低い。
しかし、今回の価格上昇は前回よりも家計への影響が大きくなる可能性があると、金融グループ「ナティクシスCIB」のアメリカ担当チーフエコノミスト、クリストファー・ホッジ氏は警告した。
ホッジ氏は、「消費者は今、2022年当時よりもはるかに厳しい状況に置かれている」と指摘。現状に比べると当時は、雇用と賃金の伸びが今より堅調で、多くの世帯がパンデミック期間中に貯蓄を積み上げていたと指摘した。
開戦以来の原油価格は、1カ月の上昇幅としては過去最大となる見通し。原油価格指標のひとつ、北海ブレント原油は1バレル120ドル前後で推移している。アメリカの指標ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)も、2022年以来初めて1バレル100ドルを超えている。
原油価格が長期間にわたり1バレル140ドルまで上昇すれば、景気後退を引き起こす可能性があると、英調査会社オックスフォード・エコノミクスのアメリカ担当シニアエコノミスト、マシュー・マーティン氏は先週の報告書で指摘した。
「戦争の期間が最も重要な変数で、長引けば長引くほど、何かが破綻する可能性が高まる」と、マーティン氏は書いた。
エネルギーの卸売価格上昇は、まず最初に給油価格に表れることが多い。価格上昇はアメリカだけでなく世界各地で起きている。イギリスでは、戦争開始以降、ガソリンの平均価格が14%、ディーゼルが27%上昇した。
スリランカやバングラデシュなど一部の国では、燃料の配給制が導入され、3月29日にはスロヴェニアが欧州連合(EU)加盟国として初めて同様の措置を取った。
オーストラリアでは、高騰する燃料価格を受け、燃料販売税が3カ月間半減されたほか、ヴィクトリア州とタスマニア州では市民に運転を控えるよう促すため、公共交通機関が一時的に無料になっている。
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