中国、燃料価格の引き上げ幅を縮小 米・イスラエルとイランの戦争受け

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ギャヴィン・バトラー記者、オズモンド・チア・ビジネス記者
米・イスラエルとイランとの戦争を受けてエネルギー価格が急騰するなか、中国は運転者の「負担を軽減する」として、以前から予定していた燃料価格の引き上げの幅を抑制した。アジアの他の国々も、燃料の値上がりへの対応策を取っている。
開戦以来、イランは重要な石油輸送路であるホルムズ海峡を事実上封鎖しており、この動きが原油とガスの価格を押し上げている。中国ではこれまでに、ガソリン価格が約20%上昇している。
中国でのガソリンとディーゼルの価格は当初、それぞれ1トン2205元(約5万円)と2120元に上がる予定だったが、政府は引き上げ幅を半分近くまで縮小。24日からそれぞれ1160元と1115元となった。
ただし、燃料の値上げは今年に入って今回が5回目で、値上げ幅は政府による抑制があったものの最大規模となった。
価格調整を行う国家発展改革委員会は23日の声明で、「国際原油価格の異常な上昇の影響を緩和し、下流利用者の負担を軽減し、経済運営と公益の安定を確保するため、暫定的な規制措置を採用した」と述べた。
同委員会は10日ごとにガソリンとディーゼルの価格を見直し、国際原油価格に基づいて調整している。
デンマーク・サクソバンクのコモディティー戦略責任者を務めるオレ・ハンセン氏は先週、BBCに対し、中国政府は長年にわたり、原油の低価格と湾岸諸国からの供給の豊富さを利用して、世界最大規模の石油備蓄を築いてきたと語った。
中国税関当局によると、今年1月と2月に同国が購入した原油量は、前年同期比で16%増加した。
アメリカの制裁対象となっているイラン産原油は、中国にとって安価な供給源となっており、イランの原油輸出量の80%以上を中国が買い付けていると報じられている。
ハンセン氏は、中国が約9億バレル、すなわち輸入量のほぼ3カ月分に相当する備蓄を構築したとの推計があると説明した。中国国営メディアが引用した米コロンビア大学の推計によると、中国には約14億バレルのガソリン備蓄があるという。
こうした備蓄があるにもかかわらず、中国は短期的に供給を管理しようとして慎重な姿勢を示している。
中国当局は、国内価格の抑制を図るため、国内の石油精製所に一時的に燃料輸出を停止するよう命じたと報じられている。中国政府は、この件に関するBBCの問い合わせに回答しなかった。
米エネルギー情報局(EIA)によると、サウジアラビアとイランからの原油は、中国の輸入量のそれぞれ10%以上を占めている。
アジア各国の対応は、ストライキも発生
アジア各国も、世界的なエネルギー価格の高騰による衝撃を和らげるため、さまざまなコスト削減策を講じている。
フィリピンでは公務員に週4日勤務が指示され、スリランカは公共機関に対して毎週水曜日を休日とすると宣言した。また、タイとヴェトナムでは、燃料節約のために市民に在宅勤務を促している。
タイの公務員は、海外出張の中止、半袖シャツでの勤務のほか、エレベーターではなく階段の使用を指示されている。
スリランカでは23日、燃料費の上昇に対応するため運賃の見直しを求めて事業者がストライキに入り、民間バスサービスがほぼ運行停止状態になった。
フィリピンでは、20を超える交通関連団体が、上昇する燃料価格への政府対応を求め、26日から27日にかけてストライキを行うと宣言している。

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ホルムズ海峡を通過する石油とガスに大きく依存している日本と韓国は、今回の紛争による影響を特に強く受けている。
日本では先週、ガソリン価格が過去最高を記録。経済産業省のデータによると、16日にはガソリンの小売平均価格が1リットル約191円に上昇した。これは、1週間前から18%の増加だ。その後、政府が元売り各社に補助金を支給したことで値下がりした。
韓国では李在明大統領が24日、公的機関が公用車の使用を削減すると述べた。
23日には、李大統領の事務所が、中国で開かれる国際フォーラムに出席する計画を取りやめたと発表。李大統領が韓国にとどまり、「緊急の経済対応を直接主導し、この局面で迅速に判断を下す」ためだとした。
アジアでは原油価格が下落
こうしたなか、アメリカのドナルド・トランプ大統領が戦争終結に向けた交渉が進んでいると述べたことや、イランが「非敵対的な船舶」のホルムズ海峡通過を示唆したことで、アジアでは25日午前、石油価格が下落した。
ブレント原油は24日、1バレル100ドル(約1万6000円)を突破していたが、25日午前には5%下がって99.29ドルとなった。アメリカで取引される原油は5.5%超、下落し、88.41ドルとなった。
シンガポール経営大学のゴー・ジンロン(呉竟栄)准教授は、25日の原油価格の下落は、市場が長期的な供給途絶やその他の最悪の事態が以前より起きにくいとみていることを示していると述べた。
アジア・太平洋地域の主要株式市場も、投資家が中東情勢の進展を見極めるなか、午前の取引で上昇した。
日本の日経平均株価と韓国のKOSPI指数は共に2%以上、上がった。香港のハンセン指数と上海総合指数も、それぞれ約1%上昇した。











