EU各国が燃料高騰に対応、購入制限や減税 米・イスラエルとイランの紛争受け

ガソリンスタンドに車が並んでいる

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画像説明, スロヴェニアのガソリンスタンドには車の列ができている
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欧州連合(EU)各国が、米・イスラエルとイランの紛争によるエネルギー価格の高騰への対応策を取り始めている。中欧スロヴェニアは23日、EU加盟国として初めて燃料の購入制限を発表。アイルランドも同日、ガソリンとディーゼル油に対する間接税を引き下げると発表した。

アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃と、それに対するイランの湾岸地域の西側同盟国への報復が引き起こした混乱により、多くの国々が燃料価格の急騰に直面している。

スロヴェニアの新たな措置では、一般の車両の運転者は1日に最大50リットル、企業と農業従事者は200リットルまでに、燃料の購入が制限される。

制限についてはそれぞれのガソリンスタンドが監視する。従業員は、顧客が許容量以上の燃料を買い込まないよう確認する義務を負う。

同国のロベルト・ゴロブ首相は週末、「スロヴェニアには十分な燃料があり、倉庫は満杯で、燃料不足は起きないと保証する」と述べた。

「燃料ツーリズム」

スロヴェニア政府はまた、外国人ドライバーに対してより厳しい販売制限を導入するよう、燃料販売業者に促している。

価格規制によって周辺国より燃料費が安いスロヴェニアでは、特にオーストリアから燃料を買いに来る「燃料ツーリズム」が発生しているという。

オーストリアでは、ガソリン価格が1リットル1ユーロ80セント、軽油は2ユーロに近づいている。一方スロヴェニアでは現在、それぞれ最大1ユーロ47セントと1ユーロ53セントに抑えられている。ただし、この価格は24日にも引き上げられる見通しだ。

オーストリア国境に近い北部シェンティリのトラック運転手は、地元メディアの取材に対し、燃料が完全に売り切れているガソリンスタンドに到着した時、「戦争中なのかと思った」と語った。

スロヴェニア人の中には、外国からの買い物客を迷惑とみなし、行列や品切れの原因になっていると非難する人もいる。一方で、日帰りで「燃料ツーリズム」を楽しみ、地元のレストランで食事をし、店で買い物をする人々も多いため、歓迎する声もある。

一方、オーストリアの極右政党・自由党のヘルベルト・キックル党首は、スロヴェニアのガソリンスタンドで列を作るオーストリアのナンバープレートの車の写真をソーシャルメディアに投稿。「悲しいことではないか。多くの人が生活費を抑えるために外国に行かなければならなくなっている国に、我々は住んでいるのだろうか」と指摘した。

アイルランドは2億3500万ユーロの支援パッケージ

アイルランド政府は、中東での戦争が引き起こした価格変動に対応し、市民の負担を軽減する措置として、ガソリンと軽油にかかる物品税を引き下げる方針を示した。

これにより、3月25日から5月末まで、軽油の物品税は20セント、ガソリンでは15セント、それぞれ引き下げられる。

この案は23日の党首会議ですでに合意されており、24日の閣議で承認される予定だ。

また、運送業者やバス運行事業者を対象にした軽油の払い戻し制度も導入される見通し。これは過去にさかのぼって適用されるという。

このほか、農業用ディーゼルやグリーンディーゼルでも物品税が引き下げられる。

年金受給者や介護が必要な人々、障害のある人々へのエネルギー支援なども含めたパッケージ全体の費用は、2億3500万ユーロに上る見通しだ。

アイルランドでは先週末、ディーゼル油の価格が1リットル約1ユーロ80セントから、2ユーロ20セント~2ユーロ30セントへと上昇した。

ガソリンも急騰し、約2ユーロになった。

アメリカのドナルド・トランプ大統領は23日、自国とイランが中東での「敵対行為の完全かつ全面的な解決」について協議したとし、自らが予告していたイランの発電所への攻撃を5日間延期したとソーシャルメディアに投稿。アイルランドのミホル・マーティン首相はこの発言を歓迎した。

その後、原油価格は下落したが、マーティン氏は、これが支援策に影響するかどうかについて「具体的なことには踏み込まない」と述べた。