原油価格が上昇、イラン船の拿捕とトランプ氏の表明受け
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ピーター・ホスキンズ ビジネス記者
ドナルド・トランプ米大統領が19日にイラン船籍の貨物船拿捕(だほ)を発表したのを受け、アジアで20日午前、世界の原油価格は上昇した。イランは18日、ホルムズ海峡を再び商船に対して封鎖し、接近する船舶はいずれも標的にすると表明していた。
指標となる北海ブレント原油先物は20日、4.74%上昇し1バレル当たり94.66ドルをつけた。アメリカの指標ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は、88.55ドルで5.6%高となった。
アメリカとイスラエルは2月28日にイラン攻撃を開始し、イランはこれに対して、通常は世界の原油および液化天然ガス(LNG)の約20%が通過する海峡を事実上封鎖。このため世界のエネルギー価格は乱高下を繰り返している。
トランプ氏は19日、イランと改めて交渉するため代表団が20日にパキスタン入りするとも述べた。ホワイトハウス当局者によると、J・D・ヴァンス副大統領が再びアメリカ代表団を率いるという。
しかし、イラン国営メディアは、同国が「参加する予定は現時点ではない」と報じている。ただし、イラン当局は立場をまだ明示していない。
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豪金融調査会社MSTマーキーのソール・カヴォニック氏はBBCに対し、「原油市場は実際の現地情勢よりも、あっちこっちへと揺れるアメリカとイランのソーシャルメディア投稿に反応して、ぐらぐら揺れ続けている。現地の状況は依然として、原油の流れが迅速に再開できる状態になっていない」と述べた。
カヴォニック氏はまた、「すべてが交渉の一部で、ホルムズ海峡でリアルタイムに実際に展開していることだ」とも話した。
ホルムズ海峡の閉鎖は19日も続いた。前日にはイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)が、アメリカによるイラン港湾の海上封鎖が停戦合意の条件に違反しているとして、一時的な再開を終了すると宣言していた。
イランは、アメリカが海上封鎖を解除するまで閉鎖を続けると主張している。
トランプ氏は17日、両国間で合意が成立するまで海上封鎖を続けると述べていた。
イラン戦争の開始以降、エネルギー価格は不安定に動いている。
原油先物価格の指標となる北海ブレント原油は、紛争前には1バレル当たり70ドルを下回って取引されていたが、3月9日にはほぼ120ドルに達した。
先物契約は、将来の特定の日に、あらかじめ定めた価格で資産を売買する合意を指す。現在提示されているブレント先物契約は、6月引き渡しの原油についてのもの。
現在の紛争はエネルギー価格の急騰を伴う世界的なエネルギー危機を引き起こしており、一部の国は燃料不足に直面している。
通常はエネルギー需要の約90%をホルムズ海峡経由の輸送に依存しているアジアは、特に大打撃を受けている。アジア各国の政府は、供給を節約するため、職員に在宅勤務を命じ、勤務日数を減らし、全国的な休日を宣言し、大学を前倒しで閉鎖している。
シンガポールやタイを含む東南アジアの一部の国では、エネルギー節約のため、エアコンの使用を控えるよう人々に呼びかけている。
約3カ月分の輸入量に相当する備蓄があるとみられる中国でさえ対応を余儀なくされ、市民が20%の価格上昇に直面するなか、燃料価格の引き上げを制限している。
アジア各地の航空会社は、航空燃料価格の急騰に対処するための措置を発表している。
国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長は16日、ヨーロッパには「おそらく航空燃料が6週間分しか残っていない」と警告した。ビロル氏はAP通信に対し、供給が遮断されたままなら、まもなく欠航が発生する可能性があると話した。
他方、イギリスでは先週末、相次ぐ値上げの後、ガソリンとディーゼルの価格がわずかに下落した。
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