ホワイトハウスの「宴会場」建設計画、連邦地裁が差し止め トランプ氏は控訴の方針
画像提供, Getty Images
アメリカの連邦裁判所は3月31日、ホワイトハウスに巨大な「ボールルーム(大宴会場)」を建設するドナルド・トランプ大統領による計画の差し止めを決定した。計画開始前に適切な手続きが行われていなかったと、判断を示した。
この建設計画をめぐっては、歴史的資産の保全団体「全米歴史保存信託(ナショナル・トラスト・フォー・ヒストリック・プリザヴェーション)」が、トランプ政権を提訴していた。
首都ワシントン連邦地方裁判所のリチャード・レオン判事は今回、「連邦議会が法的に承認してこの計画を認めないかぎり、工事は止めなくてはならない!」と、感嘆符(!)を多用した判決文で述べた。
トランプ氏は控訴する意向を示し、連邦議会の承認が必要だという判事の判断に異議を唱えた。さらに、4月末にアメリカを公式訪問する予定のチャールズ英国王を含め、各国の賓客を迎えるには、現在の設備は不十分だと主張した。
トランプ氏の計画は、ホワイトハウスのイースト・ウィング(東棟)のある場所にボールルームを建設するというもの。政権はかねて、イースト・ウィングを修繕するよりも経済的だと、この計画を擁護している。また、歴代大統領がホワイトハウスを改良してきたとも主張していた。
しかし、35ページにわたる判決文のなかでレオン判事は、「(トランプ)大統領が自分にあると主張する権限を大統領に与えるような、それに近い法律さえ存在しない。そのため、本件はナショナル・トラストが勝訴する可能性が高いと私は判断した」と述べた。
「アメリカ合衆国大統領は、将来のファーストファミリーのためにホワイトハウスを管理する立場にある。だが、所有者ではない!」とも同判事は指摘し、計画を再開するためには連邦議会の承認が必要だと結論した。
レオン判事はまた、連邦議会が政権に承認を与えれば、「政府の各部門が憲法で定められた役割を果たすことで、アメリカ国民は利益を得る」、「それは悪くない結果だ!」と記した。
トランプ政権は、計画の遅延はアメリカの国家安全保障を損なうと主張してきた。しかしレオン判事は、判決文でこれを「わらにもすがる言い分だ」と退け、皮肉を込めて「やれやれ!」と付け加えた。
「ホワイトハウスの隣に『大きな穴』が存在するのは、もちろん、大統領自身が招いた問題だ!」とも、判事は指摘した。
控訴のための時間を確保するため、この差し止め命令は14日後に効力を発することになっている。
計画は違法で違憲だと保全団体
1902年に建設されたイースト・ウィングは、昨年10月に解体された。地上部分の建設は4月にも開始される予定だった。
それ以来、提出された計画案は、収容人数500人の宴会場から1350人を収容できる空間へと拡張されている。
トランプ政権は、この計画の費用は4億ドル(約630億円)に達する見込みで、資金はすべて民間からの寄付でまかなわれているとしている。
ナショナル・トラストは、連邦議会から歴史的遺構の保全を支援する役割を委託されている非営利団体。同団体は訴状の中で、トランプ政権は国家首都計画委員会に計画を提出せずに工事を開始し、計画の環境影響評価を求めず、さらに連邦議会からの承認を求めることを拒んだことで、法律に違反したと主張した。
また、この計画は違憲の疑いがあるとも指摘。合衆国憲法は、「合衆国に属する資産の処分やそれに関するすべての規則を定める権限を、連邦議会にゆだねている」と主張した。
同団体のキャロル・キレン会長は声明を発表し、「行政が法令を順守し、計画の実施に明確な承認を得るまで、ボールルーム建設をただちに停止するよう命じたレオン判事の判断を歓迎する」と述べた。
「この決定は、我々の国で最も愛される象徴的な場所の一つに永続的な影響を与える計画をめぐる、アメリカ国民の勝利だ」
レオン判事の判断を受け、トランプ氏は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、「ナショナル・トラストは、予算内で、予定より早く、納税者に一切の負担をかけず、世界のどこよりも優れた建物になるボールルーム建設を理由に、私を訴えている」と書いた。
また、昨年12月に「トランプ・ケネディ・センター」に改称された、首都ワシントンの総合文化施設「ジョン・F・ケネディ舞台芸術センター」の改修計画についても、同団体が訴訟を起こしていることを批判した。
「私がやっているのは、ひどい状態で長年放置されてきた建物を修繕し、清掃し、管理し、そして『きれいにしている』だけだ」
トランプ氏はその後、記者団に対し、政権は今回の決定を不服として控訴すると述べた。また、建設を続けるために連邦議会の承認が必要だという判事の指摘に異議を唱えた。
さらに、チャールズ国王が近くアメリカを公式訪問することにも言及。雨が降ると芝生が濡れるため、大広間のテントは国王を迎えるに不十分だと語った。
「チャールズ国王は素晴らしい人だ。水たまりに座ってもらうわけはいかない」と、トランプ氏は主張した。
画像提供, Getty Images
トランプ氏は29日、記者団に対し、ボールルームの下に米軍が「巨大な施設」を建設していると語った。
さらに「大広間は、下で建設されているもののための納屋のような役割を果たす」と付け加えた。
昨年にイースト・ウィングがわずか数日で取り壊されて以降、建設作業はすでにかなり進んでいる。
トップ記事
注目の記事
このコンテンツは開けません