英カンタベリー大主教が就任後初のイースター礼拝、中東での「暴力と破壊」終結訴え

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画像説明, カンタベリー大主教は、英イングランド教会の指導者(5日、カンタベリー)
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英イングランド教会の指導者、カンタベリー大主教デイム・サラ・マラーリーは5日、就任後初のイースター(復活祭)礼拝をおこない、中東での「暴力と破壊」の終結を呼び掛けた。

マラーリー大主教は、米・イスラエルとイランの戦争が6週目に入る中、カンタベリー大聖堂で会衆を前に、「新たな切迫感」をもって平和を祈った。また、中東と湾岸地域に暮らすすべての人々が「求める平和、正義、そして自由を得られる」よう願った。

マラーリー大主教は約2週間前に同職に就任したばかり。叙任式では初の女性カンタベリー大主教となったことについて、10代の自分にはその後の自分に「どういう未来が待っているか、思いもよらなかった」と話した。

5日のイースター礼拝で大主教は、「私たちはこの1週間、イエスが十字架にかけられ、死からよみがえった地に目を向け、祈りを捧げてきました」と述べた。

「キリストの復活を喜びと共に叫ぶ今日、中東と湾岸地域で続く暴力と破壊の終結を、新たな切迫感をもって祈り、求めましょう」

「キリスト教徒の姉妹兄弟たちが、空(から)になった(キリストの)墓が示す希望を知り、共に祝うことができますように。そして中東地域のすべての人々が求める平和と正義、自由を得られますように」

中東での現在の戦争は、アメリカとイスラエルが2月28日、イランに対して大規模な空爆を実施して始まった。イランは、イスラエルやアメリカの湾岸の同盟国に攻撃することで対応している。これまでに数千人が死亡したと報じられている。

また、米・イスラエルが戦争初期にイランの最高指導者アリ・ハメネイ師を殺害したことに対し、イランが支援するイエメンのフーシ派組織ヒズボラがイスラエル北部にロケット弾を発射したのを受け、イスラエルはレバノン全域への大規模な空爆も行っている。

マラーリー大主教は新約聖書の「ヨハネによる福音書」に言及し、イエス・キリストの復活は、聖母マリアが嘆きの中で墓のそばにとどまっていた間に始まったのだと会衆に語った。

また、病気や死別といった「自分だけの暗闇」を抱えて向き合う人々のためにも祈りを捧げたほか、家族や病院・ホスピスで介護にあたる人々など、他者の世話に携わる人々へ敬意を示した。大主教はかつて、イギリス政府の看護トップ、イングランド看護主任(CNO)を務め、デイムの称号を持つ。

「見守るという行いは、静けさと暗闇の中にい続け、存在し続けるという働きです」と、デイム・サラは述べた。

デイム・サラは3月下旬の叙任式でも、世界の「すべての紛争地域」で平和と正義が行き渡るよう祈りを捧げていた。

ウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃を含む約2000人の参列者に対し、大主教は、中東での紛争によって、一部の教会関係者がこの礼拝に参列できなかったと話した。

動画説明, イギリスの看護トップから教会トップへ……初の女性カンタベリー大主教

イングランド教会では2024年11月、ジャスティン・ウェルビー前大主教が児童保護に関する不祥事で引責辞任して以来、約1年間にわたって大主教の座が空席となっていた。2025年10月にデイム・サラが指名され、今年に入り正式に任命された。

イースターの礼拝は、大主教としての務めの始まりを象徴するものとなった。

マラーリー大主教が率いる世界的な教会では、セクシャリティー(性的指向)や女性の指導的地位などをめぐり対立が深まっている。一部の伝統派の信徒や、より広範な世界の聖公会コミュニティーの中には依然として、女性がそもそも司祭になること自体に反対する人々もいる。

一方、先にイングランドとウェールズのカトリック教会を率いるウェストミンスター大司教に就任したリチャード・モス氏も、初のイースター礼拝をおこなった。

モス大司教は説教の中で、「この時代、世界はしばしば混乱と対立に満ちています。また、絶えず変わる幻のような要求や魅力にさらされています」と語った。

「人類は戦争と不正義によって傷つき、傷跡を残されています。多くの場合、その背景には強欲や誤った権力があり、多くの人々、特に最も弱い立場にある人々に害と死をもたらしています」

キリスト教カトリック教会のローマ教皇レオ14世も、就任後初のイースター礼拝をおこない、「戦争を巻き起こす力を持つ人」に対し、平和を選ぶよう呼びかけた。

教皇は、ヴァチカンの聖ペトロ広場に集まった信徒に対し、人類は戦争と多数の死に無関心ではいられないと語った。