英国王夫妻、4月下旬にアメリカを国賓訪問へ イランでの戦争めぐる対立の中

並んで話すチャールズ国王とトランプ氏。両者ともスーツ姿

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画像説明, イギリスのチャールズ国王(左)とトランプ米大統領(2025年9月、英ウィンザー)
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ショーン・コクラン王室担当編集委員、ヌール・ナンジ王室担当編集委員

イギリスのチャールズ国王とカミラ王妃は、4月下旬にアメリカを国賓として訪問し、ドナルド・トランプ大統領と面会する。王室の公務を管理するバッキンガム宮殿が3月31日に発表した。

国王夫妻の訪米は以前から、予想されていた。しかし、こうした公式訪問はイギリス政府を代表して行われるため、王室は公式発表するまでに米・イスラエルとイランの戦争をめぐる政治的な緊張が緩和するのを待っていたとみられる。

日程の詳細はまだ明らかになっていないが、首都ワシントンは含まれる予定。国賓としてのアメリカ訪問は、エリザベス女王が2007年に訪れて以来となる。

国王はまた、アメリカからの帰途にイギリスの海外領土バミューダを訪問する。

一方、国王はアメリカ滞在中、アメリカに住む息子のサセックス公爵ハリー王子とは会わない見通しだと、BBCの取材で分かった。

バッキンガム宮殿は発表で、訪米予定を「4月下旬」とだけ述べている。しかしトランプ氏はソーシャルメディアへの投稿で、国王の訪米は4月27日から30日の予定で、「4月28日の夜にホワイトハウスで美しい晩さん会が開かれる」と明らかにした。妻のメラニア・トランプ氏と共に、「とても尊敬している国王との時間を楽しみにしている。素晴らしいことになる!」とも書いた(太字は原文では大文字)。

チャールズ国王はさらに、米連邦議会で演説する見通し。

しかし関係者によると、訪問日程は公務が詰まったものになる可能性が高い。国王がトランプ氏と会うのはアメリカ東部だが、西海岸のカリフォルニア州で暮らすハリー王子と会う予定はないという。

エプスティーン元被告の被害者との面会求める声

英王室とアメリカをめぐっては、国王の弟のアンドリュー・マウントバッテン=ウィンザー元王子が今年2月、貿易特使としての公式業務で得た機密情報を、性犯罪で有罪判決を受けていた米富豪ジェフリー・エプスティーン元被告(故人)に渡していたとして、イギリス国内で逮捕された。

米連邦下院のロー・カンナ議員は、公式訪問の発表を受け、エプスティーン元被告の被害者らと面会するよう、チャールズ国王に求めている。

アンドリュー元王子による性被害を訴えていたアメリカ人女性ヴァージニア・ジュフレー氏(故人)の弟スカイ・ロバーツ氏と妻アマンダ・ロバーツ氏も、BBC番組「ニュースナイト」への声明で、この要求を繰り返した。

両氏は声明で、国王のアメリカ到着はジュフレー氏の命日から2日後に予定されていると指摘。「私たちは、チャールズ国王が私たちと被害者たちに会い、私たちの話を聞くよう強く求める」と述べた。ジュフレー氏は昨年4月に自死している

「アマンダと私は、被害者とその家族との対話を通じて、エプスティーンの共犯者に対してイギリス政府が今後も断固とした措置をとることにつながると、そう期待している」

しかし、現在進行中の法的手続きや警察の捜査を危険にさらす懸念があるため、国王がこうした面会を行うことはできないとみられている。

アンドリュー元王子はこれまで、エプスティーン元被告との関係について一切の不正行為を否定している。

英王室への関心と政治的な対立

アメリカは今年、独立250周年を迎える。これは、チャールズ国王の訪英でも重要な焦点となる。バッキンガム宮殿は、この訪問は両国の「歴史的なつながりと現代の2国間関係を祝う」ものだと述べた。

しかし、31日に国王の訪米が発表される直前、トランプ氏はイランでの戦争をめぐってイギリスを含む諸外国を非難し、「自分の石油は自分で取りに行け!」、「アメリカはもう助けてやらない。そちらが、我々を助けなかったのと同じだ」とソーシャルメディアに投稿した。

トランプ氏が昨年9月にイギリスを公式訪問して以来、チャールズ国王が返礼の訪問を行うとの憶測が続いていた。

ウィンザー城訪問は両国関係を円滑にしたようで、トランプ氏は先週、この訪問を振り返り、「国王は私とアメリカを尊重してくれた(中略)私たちは素晴らしい時間を過ごした」と語っていた。

トランプ氏はまた、国王との温かな交流にも触れ、「国王は本当に素晴らしいと思う」と述べ、晩餐会で国王を迎えることを楽しみにしていると語った。

晩餐会に向け、ウィンザー城内を歩く出席者たち。杖を持った王室職員2人が先導するなか、トランプ氏とチャールズ国王を先頭に2列で歩いている。男女共に正装。室内には赤いカーペットが敷かれ、壁には大小さまざまな肖像画がかけられている

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画像説明, トランプ氏は英ウィンザー城で受けた歓迎を「光栄に思う」と述べている(2025年9月)

一方で英米には、イランでの戦争を含めた政治的な相違がある。トランプ氏は先月、キア・スターマー英首相について公の場で「ウィンストン・チャーチルとはまったく違う」と批判した。

トランプ氏は1月にも、アメリカが主導したアフガニスタンでの戦争に北大西洋条約機構(NATO)加盟国が派遣した部隊を軽視する発言をし、イギリスではスターマー氏や退役軍人らが怒りを表明していた。

こうした対立を理由に、イギリス国内では国王が果たして訪米すべきなのかと議論になっている。野党・自由民主党のエド・デイヴィー党首は、訪問を中止すべきだと主張している。

調査会社ユーガヴが3月26日に発表した調査では、イギリス国民の49%がアメリカへの公式訪問に反対していた。訪問を支持したのは33%だった。

しかし、公式訪問の正式発表が遅れた一方で、水面下では準備が静かに続いていたとみられ、中止の兆しはなかった。

国王による公式訪問はイギリス政府によるもので、国王は外務省を代表して訪問する。

トランプ氏はかねて、イギリス王室に強い関心を示し、チャールズ国王との関係を非常に重視しているとみらている。イギリス政府はこの関係を利用してアメリカとの結び付きを強化し、外交上の緊張を緩和しようとしているようだ。