イランでの戦争、「数週間以内」に終える見通しと米国務長官 イスラエルはイラン核施設などを攻撃

米大統領専用機を背に、ダークスーツに赤いネクタイを着けたルビオ氏が話している。記者団はスマートフォンをルビオ氏に向けて、録音している

画像提供, Getty Images

画像説明, ルビオ米国務長官
この記事は約 8 分で読めます

アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は27日、イランでの軍事作戦について、「今後数週間以内」に終える見通しだと述べた。アメリカがイランの発電所攻撃を停止し、協議の可能性を模索する中、イスラエルの対イラン攻撃は続いている。

ルビオ長官はこの日、フランスでの主要7カ国(G7)外相会合が閉幕した際、イランでの目標が予定を上回る速さで達成されつつあると話した。

また、アメリカはイランに「地上部隊を派遣することなく」目標を達成できるとも述べた。

ドナルド・トランプ米大統領と米政権高官らはイランでの軍事作戦について、4~7週間続くだろうと、一貫して述べてきた。

2月28日の開戦から丸4週間がたとうとする中で、ルビオ氏が今回示した見通しは、トランプ氏らの主張と一致する。ただ、ルビオ氏は記者団からの一連の質問に答えた際、「数カ月ではなく数週間」の問題だとも述べた。

米・イラン協議の展望は

トランプ氏は、イランが和平協議を望んでいると主張しているが、イラン側はこれを否定している。ルビオ氏によると、イラン側からメッセージを受け取ったものの、誰が交渉を担当するのかは不透明だという。

トランプ氏は戦争終結に向けた15項目の計画を、パキスタンを通じてイラン側に伝えたと広く報じられている。

しかし、記者団から、27日にイラン側から回答を得られるのかと問われたルビオ氏は、「まだ受け取っていない。だが複数のメッセージは届いている。我々はメッセージをやり取りしているし、現在残る何らかのイランの体制側から、特定の事柄について話し合う意思があるという意向を受け取っている」と答えた。

「誰と話し合うのか、何を話し合うのか、そしていつ話し合うのかについて、我々は追加の説明を待っているところだ」

アメリカのスティーヴ・ウィトコフ大統領特使はその後、「今週中に」協議が開かれることを「期待している」と述べた。

「我々は、15項目の合意案がを交渉のテーブルに置いた。イラン側はすでに、それをしばらく検討している。我々はイランから回答があると期待している。それがすべてを解決するはずだ」

トランプ氏は同日、記者団に対し、自分はイランに協議の機会を与えるために、イランの発電所への攻撃を一時停止したのだと語った。

「我々はイランを壊滅させつつある」とした上で、「まさに今、話し合っている。(イランは)合意を望んでいる」とも、トランプ氏は述べた。

イスラエルのイラン攻撃続く

アメリカがイランの発電所攻撃を停止し、協議の可能性を模索する中、イスラエルは対イラン攻撃を継続している。

イランは27日、国内の複数の原子力施設や発電所、国内最大級の製鉄所2カ所がイスラエルの攻撃を受けたと発表した。アッバス・アラグチ外相は、攻撃されたのは民間の原子力施設だと述べ、イスラエルに「重い代償」を払わせると警告した。

イスラエルは同日、イラン中部アラクの重水炉を攻撃したと発表した。

イランの原子力当局は、アラクの施設が27日に2度攻撃されたことを認めた。死傷者や汚染の報告はないとしている。

イラン国営メディアによると、アラグチ外相は、アメリカとイスラエルが学校や病院、歴史的・文化的建造物や住宅地など、民間施設や拠点を標的とした「違法な攻撃を続けている」と非難。

イランは今後も断固として「イラン国民を守っていく」と、アラグチ氏は述べた。

強力な武装勢力としてイラン体制を支えるイスラム革命防衛隊(IRGC)は、アメリカやイスラエルに関連する産業インフラを標的とした報復攻撃を行うとしている。

イラン国営通信IRNAは、アラグチ外相が米・イスラエルとの戦争について、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相と電話で協議したと、メッセージアプリ「テレグラム」に投稿した。

解像度の粗い、施設の画像。白い煙と、オレンジ色の炎が上がっている

画像提供, X/Mamlekate

画像説明, イスラエルの攻撃を受けたイラン・アラク近郊のホンダブ重水複合施設

湾岸諸国にミサイル・ドローン攻撃

湾岸地域からは27日朝、イランから複数のミサイルやドローンが発射され、一部を迎撃したとの報告が相次いだ。

サウジアラビア国防省は、首都リヤドに向けて弾道ミサイル6発が発射され、2発を迎撃したと発表した。4発はペルシャ湾や人のいない地域に落下したという。

クウェートでは、主要な商業港のシュワイク港が攻撃されたという。港湾当局は、「物的損害はあったが、人的被害はなかった」と説明している。

アラブ首長国連邦(UAE)の国防省は、自国の防空システムがイランから発射されたミサイル6発とドローン9機に対処したと発表した。

一方でバーレーンは、ドローン12機を迎撃。同国が米・イスラエルとイランの開戦以降に迎撃したドローンとミサイルの数は、それぞれ362機と154発に上っている。

イランのIRGCは攻撃に先立ち、中東各地の米軍駐留地域から避難するよう警告していた。ただ、具体的な場所への言及はなかった。

G7、ホルムズ海峡の「安全で通航料のない自由な航行」求める

G7各国の外相は、会合後の声明で、イランが米・イスラエル攻撃への報復として事実上封鎖しているホルムズ海峡について、「安全で通航料のない自由な航行を、恒久的に回復することが絶対的に必要」だと訴えた。

これは、ルビオ国務長官が、ホルムズ海峡を通過する船舶にイランが通航料を課す可能性があると述べたことを受けての反応。

IRGCがすでに、一部の船舶に対し、安全な航行の見返りとして通航料を徴収しているとの報告もある。イランの議員らは法案の草案作成を進めているが、まだ初期段階だとみられる。

IRNAによると、アラグチ外相は、ホルムズ海峡の不安定な状況はアメリカとイスラエルの軍事行動がもたらしたもので、イランにはホルムズ海峡における船舶の航行を阻止する法的権利があると主張している。

ホルムズ海峡は通常、世界の石油と液化天然ガスの約2割が通航する。

トランプ米大統領はホルムズ海峡を通る船舶を護衛する艦船の派遣を各国に要請しているが、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国はこれまでのところ応じていない。

NATOは、紛争の終結こそが航行の自由を確保する最善の道だと主張している。

G7外相会合を終えたルビオ氏は、ホルムズ海峡の自由な航行を確保するための連合体を構築する取り組みを、イギリスが主導していると発言。そうした連合体は、戦争終結後も必要になるだろうと、ルビオ氏は述べた。

また、イランの脅威が現実のものとなった場合、アメリカより同盟国の方がより大きな影響を受けるだろうと付け加えた。