英国防相、中東への追加部隊の派遣を発表
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イギリスは3月31日、米・イスラエル攻撃に対するイランの報復攻撃への防衛措置として、中東に追加部隊を派遣し、さらなる防衛システムを展開する方針を発表した。これにより、湾岸地域および東地中海の島国キプロスの防衛に関与する英軍関係者は1000人規模に拡大する。
湾岸諸国を歴訪したイギリスのジョン・ヒーリー国防相は、サウジアラビア、バーレーン、クウェートに追加の防空部隊と防空システムを配備するほか、カタールにおける戦闘機「タイフーン」の運用期間を延長すると表明した。
「湾岸諸国のパートナーに伝えたいメッセージがある。自国の空を守るあなた方を、イギリスの精鋭が支援する」
中東での戦争をめぐり、イギリスは「防衛的行動」に参加するという立場を取っている。アメリカのドナルド・トランプ大統領は、イギリスのこうした姿勢を繰り返し批判している。
キア・スターマー英首相は30日、イギリスが「この戦争に引きずり込まれることはない」としつつ、イギリスの国益と中東の同盟国の防衛は継続すると述べた。
イギリス政府は、ヒーリー国防相がサウジアラビア、カタール、バーレーンを訪問するタイミングで、これら3カ国とクウェートへの追加支援を発表した。
カタールで記者団に応じたヒーリー氏は、イギリス軍の貢献を湾岸諸国が称賛し、自国の防衛における「要」だと評価していると語った。
また、イランが中東地域で攻撃を「拡大」しており、戦争が「数週間」続くとの見通しを示した。
カタールはこの日、会談に先立ち、自国の民間インフラに対する攻撃は地域全体への脅威だとの警告を発していた。
この発言は、今週初めにクウェートの発電・海水淡水化施設が攻撃され、損傷したことを受けてのもの。
ヒーリー氏は、英軍が駐留するカタールのドゥハーン空軍基地を訪れた際、カタールへの英空軍戦闘機「タイフーン」の派遣期間を、英政府が延長したと述べた。
英・カタール合同の英空軍タイフーン飛行隊は、1月に配備された。スターマー首相は3月初め、4機の戦闘機を追加派遣すると表明していた。
これとは別に、ヒーリー国防相はサウジアラビアのハリド・ビン・サルマン国防相に対し、イギリスが今週にも、防空ミサイル・システム「スカイ・セイバー」と、それを運用するチームをサウジアラビアへ派遣すると伝えた。
英国防省によると、同システムはレーダー、制御ノード、ミサイル発射装置で構成され、弾薬や航空機を迎撃できる。今後、中東地域の広範な防空体制に組み込まれるという。
イギリスの短距離防空システム「軽量多目的ミサイル(LMM)」発射装置はすでに、イギリスの専門家と共にバーレーンに派遣されており、バーレーンの防空体制への統合が進められるという。また、地上配備型防空ミサイル・システム「ラピッド・セントリー」はクウェートに到着済みだ。
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スターマー氏は30日、イラン国内で英部隊は展開しないと、改めて強調した。
「これは我々の戦争ではなく、そこに巻き込まれるつもりはない」と、記者の質問に答えるかたちで述べた。
スターマー氏は、2月末の米・イスラエルのイランに対する初期攻撃にイギリスの基地を使用することを、アメリカに認めなかった。しかし、イギリスはその後、イランのミサイル拠点に対するアメリカの「防御的」攻撃についてのみ、基地の使用を許可した。
トランプ氏は、イギリスやほかの北大西洋条約機構(NATO)同盟国の対イラン戦争への関与をめぐり、批判を続けている。
31日には、原油輸送の要衝ホルムズ海峡をイランが事実上封鎖している問題について、イランへの初期攻撃に加わらなかったイギリスなどの諸外国は「自分の石油は自分で取りに行け!」とソーシャルメディアに書いた。
トランプ氏は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、「ホルムズ海峡の問題で航空燃料を確保できていないすべての国、例えばイランに対する斬首作戦に関与することを拒んだイギリスのような国々に、私から提案がある。第一に、アメリカから(石油を)買うべきだ。我々にはたくさんある。第二に、少し出遅れた勇気を奮い起こし、海峡へ行って、ともかく奪うべきだ」と述べた(太文字は原文では大文字)。
「そろそろ自分で戦う方法を学習しなくては。アメリカはもう助けてやらない。そちらが、我々を助けなかったのと同じだ」とも、トランプ氏は書いた。
ヒーリー氏は31日、海上輸送の要衝ホルムズ海峡の交通を維持するために、同盟国がさまざまな選択肢を検討していると、記者団に述べた。そのうえで、アメリカを含む国際的な対応が必要になるとした。
また、軍事計画要員をすでに米軍司令部へ派遣しているという。さらに、必要に応じて、英海軍艦艇がホルムズ海峡で機雷除去用の自律型ドローンの運用を支援する用意があるとも明らかにした。
一方で、イギリスが対イラン戦争に関与しないことにトランプ政権がいら立っていることには言及しなかった。
「両国の軍は密接に結びつき、緊密に連携している。それぞれの諜報機関は、世界中の脅威に対する認識と、自由な国家が共に取るべき行動を、他に類を見ないほど共有している」
イギリスの最大野党・保守党の広報担当は、スターマー首相の紛争対応を「混乱し、支離滅裂」だと批判した。
「この2週間、(スターマー首相は)この戦争には関与しないと我々に言っていた。しかし今では、英軍部隊を中東に送っている」と、同党の声明は指摘している。
さらに、保守党党首の「ケミ・ベイドノックだけが、イギリスの国益のために行動する必要があると明確にしてきた。一方でスターマーは、一般議員の意向と自分の政治的利益しか考えていない。気骨がないからだ」とした。
野党・自由民主党は、中東への英部隊増派を支える法的助言を公開するよう、政府に求めている。
同党の外務担当広報官カラム・ミラー氏は、「イランからいわれのない攻撃を受けている(中東)地域の英部隊や、民間人、そして同盟国を政府が守るのは当然だ」としつつ、「しかし首相は、イギリスを戦争への道へと引きずり込もうとする、トランプ氏のあらゆる動きに抵抗しなくてはならない」と述べた。
野党のイングランド・ウェールズ緑の党のザック・ポランスキー党首は、イギリスはイランを爆撃するために「アメリカが英領空を使うのを阻止」すべきだと訴える動画をオンラインに投稿した。
同党首は、「米軍の爆撃機が毎日、イギリスの基地から飛び立ち、世界中を数千マイルも飛び回り、標的に爆弾を投下している。その標的が何なのか、我々は決して知る由もない」と述べた。
そして、「我々はこの紛争の共犯者になっているが、そうなる必要などない」と付け加えた。
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