米英首脳が電話会談、イラン攻撃めぐる対応に批判の後

アメリカ国旗とイギリス国旗が並んで立てられている前で、トランプ氏とスターマー氏が目線を合わせて握手をしている。写真は肩から下が見えない

画像提供, Reuters

画像説明, 2025年9月にイギリスを国賓訪問した際のトランプ米大統領とスターマー英首相
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ケイト・ワネル記者

イギリスのキア・スターマー首相は8日、アメリカのドナルド・トランプ大統領と電話会談を行った。トランプ氏は先に、米・イスラエルのイラン攻撃を開始する際のイギリスの対応を批判しており、両首脳が話すのはそれ以降で初めてだった。

英首相官邸は会談の内容を限定的に公開。両首脳が中東情勢と英米間の軍事協力について協議したと述べた。

「両首脳はまず、中東情勢の最新状況と、地域のパートナーによる集団的自衛を支援するために、英空軍基地を使う英米の軍事協力について協議した」

「首相はまた、米兵6人の死亡について、トランプ大統領とアメリカ国民に対し、心からのお悔やみを伝えた」

「両首脳は、近く再び協議することを楽しみにしている」

米中央軍司令部はこの後、イランの攻撃によって7人目の米軍関係者が死亡したと発表した。サウジアラビアにいる米軍に対する1日のイランの攻撃で負傷した米軍関係者が、8日夜に死亡したという。

トランプ氏は7日、イギリスが中東への空母派遣を検討していると述べた一方で、その可能性を否定。ソーシャルメディアに、「われわれがすでに勝利した後に戦争に加わる人々は必要ない!」と書き込んだ。さらに、イギリスを「かつての偉大な同盟国」と呼んだ。

スターマー氏はこれまで、イギリスは攻撃的な行動には加わらないと述べている。ただし、イランのミサイル基地に対する防衛的な攻撃に限り、アメリカによる英軍基地使用の要請を認めている。

トランプ氏は、イギリスが当初、インド洋にある米英の共同基地の使用を、先制攻撃に出る米軍に認めなかったことを批判。スターマー氏についても「ウィンストン・チャーチルではない」と不満を示している。

トランプ氏と「すべての問題で」一致するわけではないと英外相

BBCのテレビ番組「サンデー・ウィズ・ローラ・クンスバーグ」に出演したイヴェット・クーパー英外相は8日、スターマー首相が「国益のために立ち上がったのは正しかった」と述べ、イギリス政府はトランプ氏と「すべての問題で」一致するわけではないと話した。

「アメリカの国益にかなうと考えることを決めて、それを実行するのがアメリカの大統領の役割だ」、「だが、イギリス政府の役割は、何がイギリスの国益かを判断することだ。それは単に他国に同意したり、外交政策を他国に委ねたりすることではない」とクーパー外相は述べた。

トランプ氏に批判されつつ、英首相官邸は、イランへの最初の攻撃に参加しなかった決定を擁護しているほか、中東でのより広範な攻撃作戦に参加する意思はないと改めて強調している。

クーパー外相は、「イギリス市民が居住するパートナー国をイランが攻撃した場合」、イギリスは「防御的支援を提供する」と述べた。

イギリスは、同盟国に向けてイランが発射したミサイルやドローンを撃ち落とすため、空軍をイラン周辺へ派遣している。

イギリスの空母プリンス・オブ・ウェールズは、高レベルの即応態勢に置かれている。ただし、クーパー外相は、同艦が中東へ派遣されるかについては明言しなかった。

トニー・ブレア元首相は6日、非公式の場で、イギリスは当初からイラン攻撃を支持すべきだったと発言した。ブレア氏は2003年に労働党政権のトップとして、イギリスをイラク戦争に導いた。

ブレア氏は、アメリカはイギリスの安全保障にとって「欠くことのできない礎(いしずえ)」だとし、同盟国は現職の大統領が誰だろうと「駆けつける」べきだと発言した。

イギリスがアメリカ主導のイラク侵攻に参加した際に、ブレア政権で閣外担当相を務めていたクーパー外相はBBC番組で、当時の紛争で「何が失敗したか、教訓を学ぶことが重要だ」と指摘。

「私たちのあらゆる判断は、イギリス市民にとって何が正しいかに基づくべきだという認識」も、イラク戦争から学ぶべき教訓のひとつだとした。

クーパー外相は、「なんでもかんでも無条件にアメリカに同意すべきだと考える政治家もいる」一方、「アメリカには絶対に同意すべきではない」とか「共同行動に加わるべきではない」と考える政治家もおり、どちらも正しい姿勢ではないと述べた。

同じBBC番組に出演したイランのセイエド・アリ・ムサヴィ駐英大使は、イギリスに対し、戦争にこれ以上関与することについて「非常に注意するよう」警告した。

ムサヴィ大使は、「イラン国家に対して使われた施設や資産、基地は、正当な標的とみなされる」と述べた。

英野党は政府対応を批判

同じ番組に出演した野党リフォームUKのロバート・ジェンリック議員は、同党はイギリスがイラン上空での攻撃的な爆撃に参加すべきだとは考えていないが、政府は「当初から」アメリカにイギリスの基地を使用させるべきだったと主張した。

また、「首相の優柔不断さがアメリカとの関係を著しく損なった」と述べた。

最大野党・保守党のクリス・フィルプ影の内相は英スカイニュースに対し、労働党政権が紛争前に軍艦をキプロスや中東に移動させなかったのは「職務放棄」だと批判した。

フィルプ氏は、「問題は、現時点でそれらの艦艇がキプロスから遠く離れていることだ。湾岸地域にもいない」と述べた。

「艦艇は英ポーツマスの港に係留されている。キア・スターマーと労働党政権に、先見性がまったくなかったからだ。政府は、アメリカがイランに対するこの行動を計画していると、3〜4週間前には承知していたにもかかわらず、艦を中東に移動させなかった」

先週初めには、キプロスにある英空軍アクロティリ基地の滑走路がドローンに攻撃された。英国防省は、この攻撃の影響について「最小限の損傷」と説明している。

これを受け、英海軍の45型駆逐艦ドラゴンが今週にも、地中海に派遣される予定となっている。

一方、英空母プリンス・オブ・ウェールズの乗組員には、5日以内に出航できるよう準備するよう指示が出されている。

イギリスの対応は遅かっのたかとBBCが質問すると、クーパー外相は、イギリスは戦闘機や兵士400人を中東へ「事前展開」していたと答えた。

また紛争開始後には、戦闘機「タイフーン」と対ドローン能力を備えた哨戒ヘリ「ワイルドキャット」も配備したと述べた。

野党・自由民主党のエド・デイヴィー党首は声明で、チャールズ英国王の訪米予定を中止すべきだと述べた。

「中東を壊滅させ、イギリスの家庭のエネルギー費を押し上げる違法な戦争をトランプ大統領が開始したこの時期に、この訪問がこのまま行われるべきでないことは明らかだ」と、デイヴィー氏は指摘。

「英国王による国賓訪問は、トランプ大統領にとってまたもや巨大な外交上の成果とみなされるだろう。わが国を繰り返し侮辱し損なってきた人物に、与えるべきではない」とした。