原油価格が急落 停戦中のホルムズ海峡「開放」とイラン発表

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アーチー・ミッチェル ビジネス記者

イランが17日、アメリカ・イスラエルとの停戦期間中、ホルムズ海峡を商業船舶に対し「完全に開放する」と表明したことを受け、原油価格が急落した。

イランのアッバス・アラグチ外相による海峡「開放」の発表を受け、北海ブレント原油の価格は1バレル当たり88ドルまで下落した。発表の前には98ドルを超えていた。

アラグチ外相はソーシャルメディア「X」への投稿で、「レバノンでの停戦に沿い、停戦の残りの期間、イラン・イスラム共和国港湾海事機構がすでに発表している調整済みの航路において、すべての商業船舶に対してホルムズ海峡は完全に開放されると宣言する」と発表した。

アメリカのドナルド・トランプ大統領はイランの声明を歓迎したが、海事関連団体は依然として内容の確認を続けている。

イラン外相の発表を受け、世界の株式市場は上昇した。アメリカの主要企業で構成されるS&P500指数は1.2%高で取引を終えた。パリのCAC指数とフランクフルトのDAX指数はいずれも約2%上昇し、ロンドンのFTSE100種指数は0.7%高で引けた。

ホルムズ海峡は、イランの南にある狭い海域で、通常は世界の原油と液化天然ガスの2割がこの海峡を通過する。2月下旬にアメリカとイスラエルがイランに対する軍事攻撃を開始して以降、イランが事実上封鎖していた。

この間、タンカーの海峡通過はほぼ途絶え、利用可能な石油とガスの量が世界的に急減し、価格が急騰していた。

紛争前、ブレント原油は1バレル当たり70ドルを下回って取引されていた。その後100ドルを超え、3月には119ドル以上のピークに達した。17日後半には92ドルまで戻した。

イランがホルムズ海峡は「完全に開放されている」と述べ、トランプ氏もこれを歓迎しているが、国際的な海運団体「ボルチック国際海運協議会(BIMCO)」は、運航事業者向けの助言で、リスク継続の懸念を示している。

BIMCOの安全・保安責任者ヤコブ・ラーセン氏は、「機雷の脅威がどういう状況なのか、通航分離方式において不透明だ。海運会社は当該海域の回避を検討すべきだと、BIMCOは考えている」、「つまり、現時点では通航分離方式が航行に安全だと宣言されていない」と書いた。

一方、国際海事機関(IMO)のアルセニオ・ドミンゲス事務局長は、イランによるホルムズ海峡再開の表明の詳細を把握しようとソーシャルメディアに書き、「われわれは現在、ホルムズ海峡再開に関する最近の発表について、すべての商船に対する航行の自由および、IMOが定めた通航分離方式を用いた安全な通航に合致しているかどうかを確認している」と述べた。

原油価格の急騰はガソリンや軽油の価格を押し上げ、航空燃料の供給に対する懸念は航空会社が便を欠航させるのではないかとの不安にもつながっている。

さらに、海峡の封鎖は農業用肥料の主要な供給路も遮断したため、紛争の影響で食料価格が上昇する可能性が高くなっている。世界の主要な肥料用化学物質の3割はこの海峡を通過するため、開戦以来、価格は急騰している。

ただし、アラグチ外相による発表の数時間前、英自動車団体RACは、イギリスでは開戦以来初めてガソリンと軽油の価格がわずかに下落したと発表していた。RACによると、ガソリンの小売価格は16日に下がり始め、17日もその傾向が続いたという。ただし、2月に比べれば、満タンにするための費用は依然として非常に割高になっている。

イランによるホルムズ海峡再開の声明は、イスラエルとレバノンの間で停戦合意が成立したことを受けて出された。

トランプ大統領はこの動きを歓迎し、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で「イランがたった今、ホルムズ海峡が完全に開放され、全面通航の準備が整ったと発表した。ありがとう!」と書いた(太字は原文では全て大文字)。

トランプ氏はさらに、イランが「ホルムズ海峡を二度と閉鎖しないことに同意した」と述べ、「もはや世界に対する武器として使われることはない」とも書いた。

しかし、続く投稿で、アメリカ・イスラエルとイランの戦争を終結させる恒久的な合意が成立するまで、イランに対するアメリカによる海上封鎖は「完全に有効なまま」維持されると述べた。

他方、石油・ガス輸送事業者の一人はBBCに対し、イランが海峡開放を発表したところで「当面は何も変わらない」と話した。

匿名を条件に取材に応じたこの事業者は、「不必要なリスクを取る必要があるとは、思っていない。自社の方針として、真っ先に海峡を通過するようなことはしない」と述べた。

スウェーデンのタンカー船社ステナバルクは、「状況を注意深く監視している」と述べた。同社は、「乗組員と船舶の安全こそ、あらゆる航路判断の基準だ。安全だと確信できるまでは通航しない」としている。

英調査会社キャピタル・エコノミクスの上級気候・商品エコノミスト、キーラン・トンプキンス氏は、停戦は9日後が期限なだけに、「タンカーが海峡を通過し、積み込み、離脱するために与えられた機会はごく限られている」と述べた。

「海峡に入る船舶の数は戦前の水準に戻らないだろう。ただし、足止めされていたタンカーが離脱する機会にはなる」とも、同氏は話した。

英ベイズ・ビジネス・スクールのマンモハン・ソディ教授は、より長期的な和平合意が成立したとしても、消費者は引き続き圧力を感じることになると指摘。「サプライチェーンの正常化には、何カ月もかかる」という。