キーウで乱射事件 警官が現場から逃げた疑いでウクライナ巡回警察トップ辞任
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キャスリン・アームストロング
ウクライナの首都キーウで18日、男性が路上やスーパーマーケットで銃を乱射する事件があり、6人が死亡し14人が負傷した。銃撃犯は人質をとってスーパーに立てこもった後、警官に射殺された。この事件現場から警官2人が逃げ出したと言われており、ウクライナ巡回警察トップのイェーヘン・ジュコフ氏は19日、引責辞任した。
この事件では、男性がキーウ南部ホロシウスキー地区の路上で通行人に向けて発砲したあと、近くのスーパーマーケットで人質をとった。男性はその後、警察との銃撃戦で殺害された。
事件後、警官が市民を残して現場から走り去る様子を捉えたとされる映像が、オンラインで拡散した。
ウクライナのイーホル・クリメンコ内相は、問題の警官2人は停職処分になったと発表。事件現場での行動について、調査を進めていると述べた。
「『仕えて守る』というのは、ただのスローガンではない。プロとしての適切な行動による、裏付けが必要だ。特に、人の命がかかっている危機的な瞬間にはなおさらだ」と、内相はメッセージアプリ「テレグラム」に投稿した。
それと共に内相は、「2人の職員の行動だけで警察全体を一般化するのは、必ずしも正確ではない」と注意を促した。
巡回警察トップのジュコフ氏は19日の記者会見で、警官たちは「状況を適切に判断できず、市民を危険にさらしたまま現場を離れた」として、「プロにふさわしくない、警官に値しない」行動だったと述べた。
そのうえで、「現場指揮官として、今の職について辞表を提出することにした」と、ジュコフ氏は述べた。
ウクライナ当局は、18日の銃撃事件をテロ行為として扱うと話しているが、動機についてはまだ明らかにしていない。クリメンコ内相は、男性の精神状態が「明らかに不安定だった」と説明した。
当局によると、現在も8人が入院しており、このうち大人1人が「極めて重体」、3人が重体だという。
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ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は19日、警官2人は「現場にいたが、殺害者を止めず、自分たちだけ逃げ出した」と述べた。
大統領は2人の「不作為」を非難し、これまでの勤務状況も含めて、国家捜査局が刑事事件として扱っているとした。
「我々は戦争のさなかにあり、残念ながらロシアの攻撃によって日々、人命が失われている」、「普通の都市の路上で、このような形で多くの人を失うことは、特につらいことだ」とゼレンスキー氏は述べた。
被害者についても、情報が明らかになりつつある。ウクライナのルスラン・クラフチェンコ検事総長によると、死亡した1人は、事件で負傷した子どもの父親だっだという。その子どものおばも、死者の1人とみられている。
ウクライナ当局によると、発砲したのはロシア・モスクワ出身の58歳男性。事件前から、現場となったホロシウスキー地区に住んでいたという。
キーウに住む以前は、ロシアによる全面侵攻前から分離主義紛争が続き、現在は大部分がロシアの占領下にある東部ドネツク州に住んでいたという。
調べによると、使用された銃は正式に登録されていた。男性が免許更新に必要な書類をどのように入手したのかを確認中という。
キーウはロシアによる攻撃を頻繁に受けているものの、今回のような銃乱射事件は珍しい。
クリメンコ内相は、銃所有者の一斉点検は実施しないと述べた。
「人には武装して自己防衛する権利があると考えている」と内相は言い、「特に、全面侵攻の初期に、民間人が国防のために武器を受け取った経験を踏まえればなおさらだ」とも述べた。
ウクライナ市民は、犯罪歴や精神疾患の履歴がないなどの条件を満たせば、非自動式の銃器を所有することが認められている。
2022年2月にロシアによる全面侵攻が始まって以降、ウクライナ人は自己防衛と祖国防衛のために武器を携行できるようになっている。
2023年の小型武器調査によると、自分の銃を所有しているウクライナの成人は約3.4%にとどまっている。
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