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アメリカ、イランの山間部から米空軍士官を救出 作戦はどう展開したのか
ガブリエラ・ポメロイ
アメリカ軍は、イラン上空で戦闘機が撃墜された後、行方不明となっていた空軍士官1人を救出した。正確な状況はまだ不明だが、敵国の地上から米兵を救い出す作戦は、極めて複雑なものだった様子。
米メディアによると、救出計画には特殊部隊の兵数十人に加え、米軍機やヘリコプター、中央情報局(CIA)が参加した。
ドナルド・トランプ米大統領は5日、「我々は、重傷を負い、そして本当に勇敢な、F-15の搭乗員/将校を、イランの山岳地帯の奥深くから救出した」とソーシャルメディアに投稿した。トランプ氏によると、救出されたのは大佐だという。
イラン南部上空でアメリカのF-15戦闘機が撃墜されたとの情報は、3日に明らかになった。米軍機が敵の攻撃で撃墜されるのは、2003年以来のこととされる。
今回撃墜されたF-15E「ストライク・イーグル」には、操縦士と兵装システム士官(WSO)が搭乗していた。操縦士は機体からの脱出に成功し、同日中に救出されたが、もう一人の搭乗員は行方不明となっていた。
アメリカはその後、士官の居場所を急ぎ特定するため時間との闘いを始めた。イランは米兵を捕虜にするつもりだとして、100億トマン(約1000万円)の懸賞金を提示した。
BBCは内容を検証できていないが、武装した民間人が米兵を探す様子とみられる映像が、ソーシャルメディアで拡散していた。
米当局者によると、士官が地上に降下した際、自衛のために持っていたのは拳銃一丁だけだった。
空軍士官はこうした状況に備えた訓練を受けていたはずで、訓練内容には、ビーコン信号を作動させ、高所に移動し、身を隠し、通信を確立する手順が含まれていたという。
米メディアの報道によると、空軍士官は山中の岩の裂け目に身を潜め、信号がイラン側に探知されることを懸念してビーコンの使用を制限した。その後、救助隊の到着を待ったとされる。
トランプ政権高官は米メディアに対し、救出作戦ではCIAが重要な役割を果たしたと話した。
山中の裂け目にいた空軍士官の正確な位置を特定し、その情報を国防総省に伝えたのはCIAだったという。
トランプ氏は、救出作戦の計画を進める米当局者がその位置を「24時間体制」で監視していたと書いた。さらに、士官は「敵に追い詰められ」、「敵との距離は時間を追うごとに縮まっていた」とも付け加えた。
様々な情報によると、CIAは偽装工作も展開し、米軍がすでに2人目の空軍兵を発見したという情報をイラン国内に流したという。
トランプ大統領は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、米軍が「彼を取り戻すため、世界で最も殺傷力の高い兵器で武装した航空機を数十機派遣し、彼を回収した」と書いた。
地上の空軍士官のもとへ米軍特殊部隊が急行する間、イラン軍を遠ざけるために爆撃や銃撃が行われたとされている。
米メディアによると、救出作戦に当たった米軍要員の撤収に使われる予定だった輸送機2機が、イラン国内の遠隔地にある基地から離陸できなかったため、敵の手に渡るのを防ぐため破壊された。特殊部隊はその後、さらに3機の航空機でイラン領内に入り、要員を回収したという。
BBCヴェリファイ(検証チーム)が確認した映像や写真には、イスファハン市の南東約50キロにあるイラン中部の山岳地帯で、くすぶる航空機の残骸が写っているように見える。
イラン軍は、作戦中に米軍の輸送機C-1302機とブラックホーク・ヘリコプター2機を破壊したとし、「イスファハン南部で使われなくなっている空港において、陽動と逃走の作戦を完全に阻止した」と述べた。
イラン国営メディアは5日、イスラム革命防衛隊(IRGC)の部隊が、行方不明となっていた空軍士官を捜索していたアメリカのドローンを、イスファハン上空で撃墜したと伝えた。
イスファハン周辺で起きたとされる出来事に関し、BBCはイラン側のいずれの説明についても裏付けを確認できていない。
アメリカ当局者によると、日付が米東部時間5日に変わる前に救出作戦は完了し、空軍士官は治療のためクウェートに運ばれた。トランプ氏は士官が「重傷」を負っているものの、「回復する」と述べた。
米当局は、救出時の正確な場所や、空軍兵の身元についての情報を明らかにしていない。
米海軍のウィリアム・ファロン退役大将はBBCに対し、救出作戦では「時間帯」が有利に働いた可能性が高いと話した。「暗闇は我々にとって有利だ。夜間の行動に慣れているからだ」と述べた。
ファロン氏はまた、敵領上空を飛行する際には「自分が撃たれると覚悟しておく必要がある」と話した。
米東部時間5日午前0時になる直前、米メディアは2人目の乗員が発見されたと速報した。
トランプ氏はソーシャルメディアに、アメリカは「アメリカの戦士を絶対に置き去りにしない!」と書いた(太字は原文は全て大文字)。
イランはこの作戦が失敗だったと主張した。イラン軍中央司令部のエブラヒム・ゾルファガリ報道官は、複数の米軍機が緊急着陸を余儀なくされたと述べた。
「自ら始めた戦争と侵略の泥沼にはまった無知な大統領は(中略)あらゆる侵略も地上作戦も侵入も、決定的で屈辱的な敗北に直面することを十分に理解した」と報道官は強調した。
トランプ氏が操縦士の救出を発表して以降、イラン当局や国営テレビは、米軍の作戦は失敗だったと繰り返している。
イラン領内深くでF-15Eを失ったことに加え、複数の救出機が破壊されたことは、アメリカの空での戦力の限界を示すものだという意見も、アメリカのアナリストから出ている。
米中央軍のフランク・マケンジー元司令官は、BBCがアメリカで提携するCBSに対し、「確かにその任務で数機の航空機を失った」と認めつつ、今回のような状況では「当然」受け入れる損失だと話した。
「航空機を作るには1年かかる。だが、誰一人置き去りにしなという軍の伝統を築くには200年かかる」と、マケンジー氏はCBS番組「フェイス・ザ・ネイション」で述べた。
(追加取材 ゴンチェ・ハビビアザドBBCペルシャ語記者)